深海と生分解性プラスチックの研究について、東京大学大学院・農学生命科学研究科、岩田忠久さんのインタビュー⑤
今週も、1月に発表された深海と生分解性プラスチックの研究について、東京大学大学院・農学生命科学研究科の
岩田忠久教授にお話を伺っています。
今回の実験では、日本近海の深い海底5箇所で実験が行われました。一体どのような場所が選ばれたのでしょうか?
選ばれたのは主に「人間の生活に近いところ」、「人間の生活に遠いところ」、そして「環境が異なる温かい所」
でした。
まずは「人間の生活に近いところ」。
神奈川県の三崎沖、静岡県の初島沖、これは深さは約1000 m、両方とも人間の生活の場に近いため、
普段から大きなプラスチックゴミが見つけられているところになります。
続いて「人間の生活に遠いところ」。
これは深海平原と呼ばれる、本当に広い深海の平原。日本でいうと最東端の南鳥島、約5500 mになります。
とても深い海だと非常に海水が綺麗で、そういった場所でも分解するのかというところに焦点を当てました。
そして「環境が異なる温かい所」。
伊豆小笠原の近海では、少し熱水が出ているところがあります。約1300 mの明神海丘と呼ばれる場所で、
温度が高く、pH値(水の性質を示す単位)も異なってきます。一般的に海底は約4℃とされています。
2019年に南鳥島沖にサンプルセットを沈め、半年→1年→2年→3年と引き上げ、どれだけ分解してるかを
調べています。同時に、海岸近くに1年ほど置いた、プラスチックが海に流れるのと同じ環境にしたものも、
順次沈めていく予定だそうです。
📝生分解性プラスチックは深海でも分解することを実証
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20240126-1.html
📝岩田教授の研究室 東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 高分子材料学研究室
https://www.fp.a.u-tokyo.ac.jp/lab/polymer/index.html