番組ポッドキャスト

海の温暖化について北海道大学海洋物理学、極域海洋学の研究を行う、青木茂 助教授へのインタビュー④

「2023年は観測史上最も暖かいく、平均気温がパリ協定の目標である
産業革命前の平均より1.5℃高い気温に近づいた」と世界の様々な機関が発表しています。

そこで、今週は、海の温暖化について、
北海道大学で、海洋物理学、極域海洋学の研究をしている 青木茂 助教授に詳しく伺っています。

右端 北海道大学青木茂さん南極観測

地球の熱の多くは、7割を占める海が吸収しています。
海の温度も上がっていると、今週、青木さんに教えていただきましたが、
地球を冷やすラジエーターのような南極の海は、どうなっているのでしょうか?

提供 北海道大学_青木茂さん_2

南極の周りの海では海の温度が上がっているため、海の水が凍ってできる海氷が減っているんですね。

アメリカの国立雪氷データセンター(NSIDC)の衛星画像によると、
一年間うち、南極で最も海氷面積が増えると言われる9月に過去最低レベルを記録。
2023年は、例年の平均的な最大面積よりも約150万㎢減少。

この南極の海氷は、生き物たちにとって大切な場所でもあります。
地球惑星科学分野の論文誌Communications Earth & Environmentに掲載された
皇帝ペンギンのコロニーに関する海外の研究によりますと、
皇帝ペンギンは、岸に張り付いて安定している海氷を繁殖地としているのですが、
産卵の春、前回、海氷面積が過去最小を記録した2022年には、
南極のベリングスハウゼン海の定着氷の損失により、
5つあるコロニーのうちの4つのコロニーで皇帝ペンギンのヒナが全滅していたことが報告されています。

今日のお話は、海水が凍ってできた氷のお話でしたが、海水が暖かい事で、
南極大陸から張り出した氷河でも、変化が起こっているんだそうです。
詳しくは来週お届けします。

今回インタビューにお答えいただいている
北海道大学 海洋物理学 極域海洋学の研究をしている青木茂さんの研究については、
下記のサイトをご覧ください。
http://climbsd.lowtem.hokudai.ac.jp/group/shigeru/index.html