科学ジャーナリスト 山本智之さん のインタビュー(2)「「死滅回遊魚」について」
今週は、科学ジャーナリスト 山本智之さん のインタビューをオンエア。
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今日は、「死滅回遊魚」について、伺いました。
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山本さんはお仕事のほかに、趣味でダイビングをするのだそうです。
今の時期、たとえば静岡県の伊豆半島の海に潜ると、南の海からやって来た
カラフルな熱帯魚たちを、よく見かけます。
この熱帯魚たちは、黒潮に乗って本州の海にやってきます。
ただ、所詮は熱帯魚ですから、本州の寒い冬を越すことはできなくて、普通は死んでしまいます。
つまり、回遊してきても結局寒さで死んでしまうので、こうした熱帯魚たちを
「死滅回遊魚」と呼んでいます。
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ところが最近は、本来は冬を越せずに死んでしまうはずの熱帯魚が、
越冬して生き延びるという現象が、伊豆半島で目立つようになりました。
こういった海の異変が起きると、地球温暖化のせいではないかと
すぐ思ってしまいがちですが、実際には、黒潮の流れ方が「大蛇行」というパターンに
なったことも、原因の一つと考えられています。
大蛇行というのは、黒潮が、紀伊半島から東海沖で大きく離岸して流れる状態のことを言います。
ただ、これから地球温暖化が進む将来は、南の海からやって来た熱帯魚が
越冬して生き延びるという現象は、ますます増えていくと考えられます。
山本さんの本、「温暖化で日本の海に何が起こるのか」には、
相模湾や駿河湾などで越冬が確認された熱帯・亜熱帯性の魚たちの具体例も
リストアップされています。ぜひ、チェックしてみてください。